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社長のひとりごと 3/9

 最近聞くようになったのが、「あの商品はすごく良い商品だったのに、なぜ製造をやめてしまったのか」という話題です。代表的と言えるのは、家電メーカーがそろって製造をやめた石油暖房機があります。パナソニック(当時ナショナル)のリコールが有名になりましたが、一番のシェアを持っていたのが三菱で、製品名がほとんどそのまま機器名になった「クリンヒーター」があります。石油暖房機ではこれこそ名機だったと思います。しかし時代の波はこれをものみ込んでしまいました。CO2削減が急務になった現在では、ヒートポンプの大波には逆らえません。一年の半分以上暖房機が必要な雪国では「残してほしかった」というのが大半の意見でしょう。私もその一人です。オール電化が時代の先端を走り、新築住宅では驚異的な伸びを続けています。断熱性能に優れた高断熱高気密の住宅では、ヒートポンプでも十分なのでしょうが、全体の住宅ではまだ10パーセントにもなっていません。人類の未来のためにどうしても地球温暖化は防止しなければなりませんが、一番の貢献者(被害者)が弱い人たちになってはいけないと思います。石油暖房機が無くなると困るのは高性能住宅と高い暖房機を買えない人たちです。

 暖房機のほかでも、長岡では冬になると活躍する消雪用の浅井戸ポンプがあります。パナソニック(当時ナショナル)製のヒュウガルポンプが性能もよくコンパクトで一番好んで使われていましたが、残念ながら生産が中止になってしまいました。故障したり壊れてしまったら、他のメーカーに交換しなければなりません。凍結しないように地下に埋め込んである場合は、大工事になるかもしれません。ご注意ください。もし調子が悪いようでしたら、部品があるうちに修理されたほうがいいですよ。当社でも対応させていただきます。

 今、流通業界でも大きな再編の波が起きています。最初の変化はもうずいぶん以前から始まっていました。オフイスのOA化が始まり、手作業から機械へとかわり、さらにIT化へと進みました。この間に小さいものはどんどん淘汰されて、残ったものは一握りの小さなものと、細胞が合体するかのように合併と吸収を繰り返す組織が残りました。本来、企業はお客様のためになるものをつくり、販売して利益を得るものだと思っています。ところが、今はなんとなく自分たちに都合の良いものばかりを選択しているのではないか。松下幸之助さんがスーパーダイエーの中内氏と戦った時代はまだつい最近なのに、なんだか昔話になってしまったようです。

(石澤正二)